TVアニメ『Infini-T Force』あらすじと感想、見所の考察

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あのタツノコプロが生み出した伝説的ヒーロー4人が集結して世界を守るために再び戦うというアニメ『Infini-T Force』が現在放送中で、これが結構面白い。

今回はこのアニメの魅力を簡単に紹介します。

※ストーリーのネタバレはありません。安心してお読みください。

◇プロローグ

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舞台は現代の渋谷。17歳の女子高生・界堂 笑(かいどう えみ)は、小さい頃に一緒に暮らしていた父親が唐突に行方知れずになって以来、広い我が家でひとり暮らし。

別れ際に父親から言いつけられた3つの約束…「毎日牛乳を飲む。部屋を片付ける。挨拶を忘れない。」この3つだけはずっと守っていた。

愛も友情もろくに知らず、長く続く孤独のせいか「生きる」ということに実感が湧かず夢も希望も持てなくなって、誰に対しても何に対しても冷めた態度をとってしまう彼女。「笑」という自分の名前とは裏腹に、全く笑わない。最近ではバイクで交差点を突っ切ることで生きている実感を確かめたりしていた。

 

そんなある日、いつものように交差点を走っていると上空に謎の光が。それに注意を奪われてあわや一台の車と衝突しかけたエミだったが、なんとか怪我もせず事なきを得る。しかし上空の謎の光は地上めがけて降ってきて、なんと彼女を射抜いたのだ。そして気づけば彼女の手には得体のしれない大きな鉛筆が握られていた。

ついでどこからともなく現れた謎のロボット兵。意図せずその場に集結した3人のヒーロー… ガッチャマン鷲尾 健),ポリマー鎧 武士),テッカマン南 城二)が共闘し、なんとかこれを倒す。

直後、全身を厚い防具で覆ったマント姿の謎の人物が登場。エミの持っている鉛筆に関心を持っているようだったが、それが突然光り出した途端逃げていくのだった。

気づけば周囲の状況も元通りに。戦いの痕跡など一切なくなっていた。

ヒーロー漫画のような光景を現実として目の当たりにしたにも関わらず、やはり冷淡なエミは、3人に軽くお礼だけ言い残して颯爽と帰ってしまう。

 

さらに謎の鉛筆に導かれるままに4人目のヒーロー・キャシャーン東 鉄也)と出逢うエミ。

そして彼女は、自分が持つその鉛筆が人間史のさまざまな局面において持ち主の願いを叶え歴史を動かしてきたキーアイテム『ケース』だということを知る。

それからというもの、ケースを欲する謎の男「Z」と、彼のもとに集う3人の敵に身柄を狙われ続けるエミ。

4人のヒーローは心の動くまま、迫りくる魔の手からエミとこの世界を守るために戦う。

 

ケースを使って世界をひとつひとつ消して回ってきたというZ。その真の目的とは何なのか。

持ち主の願いを叶えるまではその手を離れないというケース。夢も希望も無いはずの少女エミがその心に抱く本当の願いとは何なのか。彼女自身がそれに気づいたとき、物語はどんなラストスパートを迎えるのか。

◇屁理屈なんか要らない。お前の心に問え。これが正義だ!!

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正義ってなんだとか、正義は人によって違うとか、そんな流行りの文言をすべて蹴散らし、「これが正義で、これが悪だ!!」というのをストレートに突き付けてくる。それが今作の最大の魅力ではなかろうか。

悲しんでいる人を助けたいと願い戦うのは正義だ。

人々や世界を護ろうと闘うのが正義だ。

世界を滅ぼそうとするのは悪だ。

人を意図的に傷つけるのは悪だ。

温かく燃えて輝いているのが正義の心で、憎しみや劣等感といった負の感情で形作られたドス黒いフラストレーションの塊は悪の心だ。

そういうふうに『正義』と『悪』を改めて分かりやすく定義づけたうえで、「ヒーローというのは温かく燃える心で、悲しんでいる人たちに手を差し伸べるものだ。人との絆を大切にして仲間と共に悪をくじく者だ」と直球で描いている。

だからこそ観ていて気恥ずかしい場面もあるが、「行け!!僕らのヒーロー!!この世界を護ってくれ!!」という、子供の頃におよそ誰もが抱くような素直な願いを思い出せる。そして4人のヒーローたちが発する正義の言葉に胸を打たれて、大人ながらにハッとすることも。

とにかくどこを切り取っても正義と悪というのが分かりやすくて、ごちゃごちゃ理屈をこねずに観ることが出来る。

エミに襲い掛かってくる敵たちも病的な殺人者とかではなくて、それぞれケースを欲するに至るまでの事情がしっかり組まれているのも見所。

◇人生は、生きている喜びを感じられなければ嘘だ

当然だが、これはエミという少女の成長物語でもある。

彼女は小さい頃に親がいなくなってから広い立派な家にたったひとりで寂しく暮らしているという珍しい境遇ではあるが、しかし、人生に特に喜びも見いだせずかといって死にたいというわけでもなく淡々と毎日を消費していくだけ…という人間自体は、現代社会では珍しくないのではないだろうか。

人間には自分の能力や生き方や精神状態や、いつか訪れる命の終わりを明確に自覚するだけの知能があるのだから、根本的な話、自分が納得し満足するような生き方を続けて未来にワクワクしていなければ、心が腐るか寂れるかして虚しい人生になってしまう。

エミという現代病の代表みたいな人物の成長ストーリーを見せることで、実は視聴者に訴えかけているのではないだろうか。「あなたは人生にワクワクしていますか?努力も苦労も未来のワクワクのために出来ていますか?まだ熱い正義の心を持てていますか?」と。

そう思って観てみるとまた感じ取れるものが多くなるだろう。

 

キャラクターもそれぞれ現代風のビジュアルに改変されていて、非常に親しみやすい。(ちなみに管理人は特に鷲尾健が大好きだ。)

全編とおしてCGとなっているが、キャラクターそれぞれの動きや表情はオーディションを通過した個別のモーションアクターが担当しているなど、作り込みも細かい。タツノコプロ55周年記念作品というだけあって、注がれている熱量は並ではない様子。

 

このアニメは、ヒーローは子供だましだという固定観念を取っ払ってくれる名作だと思う。

あなたの心にはちゃんとヒーローが居るだろうか。

ぜひ視聴して確かめてみてほしい。

 


◇関連情報

【アニメPV】

アニメ公式サイト⇒http://www.infini-tforce.com/

(放送スケジュールもこちらの「on air」ページでご確認ください。)

 

なお本編はAmazonでのレンタル視聴が可能。管理人も利用していますが、高画質ですしおすすめです。

【制作会社様】

タツノコプロ⇒http://www.tatsunoko.co.jp/

デジタル・フロンティア⇒https://www.dfx.co.jp/

 


【Blu-ray/DVD】

【OP・ED主題歌】

・flumpool「to be continued…」

MP3音源

収録CD

・edda「チクタク」

MP3音源

CD

漫画Infini-T Force 未来の描線』

『魔法使いの嫁』アニメの感想。世界の理に触れ少女は愛を知っていく

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2クール構成予定で現在放送中のアニメ『魔法使いの嫁』

タイトルがタイトルゆえ「ラブコメかな?」くらいの気持ちで観てみたのですが、素直に傑作ファンタジーといえるアニメです。

今回はこのアニメのあらすじと見所を紹介。

例によってストーリーに関するネタバレはありません。

 


◇あらすじ

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羽鳥智世(はとりちせ)は生まれつきの特異体質で、妖怪や妖精といった類の、普通の人には見えないものが見えてしまう。この体質のせいで周囲から恐怖され蔑まれ、親戚中をたらい回しにされ心の行き場もなくした彼女は、自ら人身売買の商品になる道を選び、遠くイギリスの地で競売にかけられる。

商品が穢れも知らぬ若い少女とあって、集まった客たちは我こそはと競り落とそうとするが、そのとき、顔をすべて赤い布で覆った不気味な男が姿を現し、彼女を弟子にすると言って高値で落札するのだった。

彼の名はエリアス・エインズワース。今はもう絶滅寸前となっている本物の魔法使いである。

 

智世を弟子として買ったエリアスは、その言葉どおり彼女を自分の家に丁重に迎え入れ、妖精や怪異の存在についてや、彼女の特異体質がそれらを呼び寄せるスレイ・ベガと呼ばれるもので魔法使いとしての最高の素質であることなどを聞かせ、これからはここが彼女の居場所だと伝える。

今まではどこに行っても煙たがられ恐れられるだけで居場所と呼べるものがどこにも無かった智世は、エリアスの言葉に心から救われ、彼の正体や真意はどうあれ一緒に生きていくことを決めるのであった――

 

人外(じんがい)の魔法使いエリアスとの共同生活をきっかけに、智世はさまざまな人間や妖怪や怪異,さまざまな種族の者と巡り会ってそれぞれの事情や心情に触れ、命の在り様に触れていくことで己の感情を育み、幸せとはどんなものなのかを知っていく。

スレイ・ベガという特異かつ過酷な運命を背負った彼女は、エリアスの弟子として優秀な魔法使いになることが出来るのか。そして、その先で彼女たちを待っているのは、どんな未来だろうか。

◇感想 ~超常的な世界観でありながら、メッセージは極めてシンプルだ~

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まずこれは愛を知る物語である。

弟子として、そして未来の嫁として智世を買ったエリアス。

ヒトでも妖怪でもない中途半端な存在である彼は、人間の思考を理解はできても、それに共感することが出来ない。人間がするように振る舞うことは出来ても、人間のような感情を持つことができない。

人間嫌いと言われ人里離れてずっと暮らしてきた彼が、人間の智世を迎えたのは、恐らく、彼女が魔法使いとしての卓越した才能を持つスレイ・ベガだからというだけの理由ではない。

彼は彼女をそばに置き一緒に暮らしていくことで、人間の感情を本当の意味で理解したいのかもしれない。根源にある理由はどうあれ、エリアスにとって彼女は実質、人間の心を学ぶための教材のようなものでもある。

その希望どおり、彼女と寄り添うように生きていく中でエリアスの「心」は少しずつ刺激を受け、新しい何かを感じていく。

 

智世もエリアスと一緒に過ごし様々なものに触れていくなかで、人間らしい感情を思い出していき、自分の心の輪郭を作っていく。

彼女の心が人間として十分に育ったとき、そばに居るエリアスの存在は単なる主人や師匠ではなく、別の代えがたいものになっているのであろうか。

これは智世にとって居場所というものを知る物語であり、ふたりにとって心を知る物語であり、愛を知る物語なのだ。

ふたりの心の成長を見届ける中で、我々の心もなにか大切な、シンプルなものを思い出すかもしれない。

 

また、これは命を知る物語でもある。

智世はエリアスと一緒に暮らし、魔法使いとしての仕事を手伝ったり、彼の多種多様な知り合いと出逢いその生き方を観たり対話したりするなかで、生まれて初めて自分の命の存在を真に実感し、「命」がなんであるか、生きるということがなんであるかを実感していく。また、魔法を知っていくことで、世界の理を知っていく。

生きることになんの希望も見いだせずかといって死にたいとも思えず、ただただ毎日をやりすごすだけだった彼女は、エリアスとの生活をとおして「自分が確かにここに居る。生きている」と感じていくのである。

その様は非常に温かく、希望に満ちていて、自然と応援したくなるものだ。

そして、そのように成長するなかで彼女はどんな生き方を選択していくのだろうか。スレイ・ベガとしての自分の力をどう使っていくことを選んでいくのか。それがとても楽しみでもある。

◇メッセージ性抜群の主題歌

主題歌がまた素晴らしい。

オープニングの「Here」は、JUNNAさんのファーストシングル。熱く壮大なタンゴ調のメロディラインに乗せて、「明日を目指して生きろ。君には君の居場所が必ずある。自分の命がたとえどれだけ小さく無意味でも、僕たちは生きたいと叫ぶんだ」という力強いメッセージを歌っています。

JUNNAさんの歌唱力(声量や感情の入れ方)はほんとに凄くて、一発で心をガーンと揺さぶられるようなポジティブな圧力がありますし、テンポもちょうどよく、伴奏も作りが細かく抑揚がしっかりしているのでループで聴いても飽きません。物凄くエネルギーが湧いてくる1曲です。「自分はここに居るぞ!!!」と心のなかで叫びたくなりますね。

歌詞に雨が出てくるからというわけではありませんが、なんとなく、雨が降っている日に道行く人たちを観ながら聴くのにピッタリな気がします。

 

糸奇はなさんが歌うエンディングの「環-cycle-」はオープニングとは対照的に、静かで優しい曲です。澄んだ歌声と、物静かではありながら色々な音が美しく重なっている伴奏。エンディング映像のように星空を眺めながらしんみり聴くのに最高でしょう。冬にいいですねぇ。

こちらも、生きるということ、居場所というものの尊さについて命の巡りをテーマにして温かく歌っています。

この曲、本編を観終えたあとの余韻を引き立ててくれて「あぁ~…」という気分にさせるんですよ。

◇まとめ

ここまで読んでもらえればお分かりのとおり、この作品はタイトルからは想像もつかないかんじの真面目な感動ファンタジーものなんですが、そういう感動のなかにちょっとしたコメディ(お茶目)要素もあったりして、緩急のバランスがいいのでとても観やすいですね。

切ないシーンや、きな臭い人間が出てきたり謎の魔の手が迫ってきたりといったヒヤッとするシーンもありますが、どす黒い気分になるようなことは無いと思います。というのも、なんだかんだ希望を手探りしていく物語だからです。

 

智世もエリアスも「心」を知らず、本当の愛がどういうものなのかもまだ知らずにお互い手探りで近づいていく様がひどく微笑ましい。そんな人間と異形の者とのピュアな恋愛ものとしての楽しみも勿論ありますし、

時としてエリアスのような人外の存在から心の在り方や命の在り方を魅せられることもあって、そういうシーンでは、ファンタジーだからこそ理屈抜きのド直球で描ける、人生についての強いメッセージに心を打たれるのです。

 

本編の絵の雰囲気にしても、話の内容にしても、秋から春にかけて観るのにちょうどいいなぁと思いますので、今回の放送期間はドンピシャでしょう。

私はAmazpnPrimeを利用してフルHD画質(1080p)で視聴しているんですが、絵もめちゃくちゃ綺麗です。非常に丁寧で絵柄にクセもなく、とっつきやいし、相当力を入れて作ってるのが分かります。本当に本当に綺麗なので、ぜひ高画質で観ていただきたい。オープニング映像は特に大好きです。

お世辞抜きで「アニメ史に残る名作」となる予感がありますので、本記事で気に成りましたらぜひご視聴ください。

 


◇関連情報

アニメPV

(※※ PVは第3弾までアップされているようですが、事前知識を最小限にとどめて本編を視聴されたい方は、第1弾PVのみ観ることをおすすめします。※※)

・アニメ本編(Amazonビデオ)

 

アニメ公式サイトhttp://mahoyome.jp/

(↑放送情報もこちらの「on air」ページでご確認ください)

制作会社様公式サイトhttp://www.witstudio.co.jp/

TVアニメ公式Twitterhttps://twitter.com/mahoyomeproject?lang=ja

 

MAGCOMI 原作情報ページhttps://comic.mag-garden.co.jp/mahoyome/

原作者:ヤマザキコレ先生Twitterhttps://twitter.com/ezoyamazaki00?lang=ja

【※※注意※※】アニメ・漫画関係のイベントや発売について、販売物などについては、原作者様に質問しにいかないように何卒ご配慮願います。なにか質問がある場合には、アニメ公式アカウント等に連絡してみましょう。

 

◆WEBラジオ

チセ役の種﨑敦美さん、エリアス役の竹内良太さんのお二人がパーソナリティを務めるWEB同人ラジオがYoutubeで配信されています。アニメ本編とは打って変わって、終始ウキウキな感じで元気に収録されてますので、作品をちがう角度からももっともっと味わいたい!という方はぜひ聴いてみて下さい。

 

◆グッズ情報

アニメイトオンラインショップhttps://www.animate-onlineshop.jp/products/list.php?mode=search&smt=%E9%AD%94%E6%B3%95%E4%BD%BF%E3%81%84%E3%81%AE%E5%AB%81

(URLはあえて短縮化しておりません。ご了承ください。)

Frooviehttp://froovie.jp/shop/c/c28082/

・原作コミック

・アニメ Blu-ray 第1巻

『キノの旅』アニメ感想。新旧どちらが「面白い」か。それぞれの良さを語る

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あの人気作『キノの旅』の新アニメが今期放送していて、AmazonPrimeで一週間遅れて視聴することができます。で、ちょうどいいことに2003年にWOWWOWで放送されていた旧作も現在おなじくPrimeで視聴することが出来るので、この機会にと思って両方観てみました。

今回はこの新旧2作を比較しての評価を記しておきます。

 

まずこの『キノの旅』という作品の大筋は、「主人公のキノという若い旅人が、相棒であるモトラド(バイクのことをこの世界ではそう言う。ちなみにこれらは割とふつうに人語を話せる)のエルメスといっしょに、広い世界をどこまでもどこまでも旅し、様々な国に赴き、様々な人々と出逢ってその生き様を観て、時として触れて、様々なものを感じていく」というもの。

――世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい――

キャッチフレーズになっているこの言葉のとおり、人間の難しさや醜さを見せつけつつ、それでこそ感じられる奥深さや面白さや温かさを気づかせる、そんな構成になっています。

単にフィクションの枠におさまらず、観る者に哲学させ人生観を広げさせる助けになるような内容になっているのが最大の魅力。つまりこの作品にキャラ萌えは要らないのです。カッコよさも要らないのです。

これを前提に評価すれば、面白い(味わい深い)のは明らかに旧アニメです。

◇2003年版アニメの魅力 ~確実に心に染みる、中身の濃さ

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旧アニメを観始めた時、1話の前半の時点では正直「うーん…」と思いましたよ。最初の展開はダルくて、初見で心をつかんでくる盛り上がりが無いし、エルメスの声は結構キンキンするうえ絵本か紙芝居の朗読のようで疲れるし、キノの声優さんも声はいいんですが昨今の声優さんのようにこなれていない。絵だってもちろん今のアニメのように美麗じゃありません。「こんなかんじで続いていくのか…?」と思ってしまいました。

それだけ自分の中で不評だったのだから、もちろんそこで今後一切観るのをやめるという選択もあるでしょう。

だけど、日を改めてもう一度観てみました。

今度はとりあえず第1話を最後まで。

そしたら、なんということでしょう。観れば観るほど引き込まれる。内容が濃いので1話1話がいい意味で長く感じる。どんどん次の話が観たくなって、余暇をまるまる使って一気に観てしまいました。

べつに笑えもしないし、アクションで熱くなるような内容でもない。昨今のアニメのようなオシャレ感やスタイリッシュさも無い。

でも「染みる」んです。とにかく胸に染みる。見終えた後に、確かに心に残っているものが有る。この作品を知れてよかったとすら思えるだけの中身が有る。

絵柄も、声優さんのしゃべりも、最初はダルく感じた演出も、観れば観るほどそれが代えがたい味になっていると分かりました。「あ、そうか。この作品は絵本みたいでいいんだ」と。

「旅」といいつつ決して爽やかな明るい話ではないんですが、病むような内容ではなくて、観終えた後には「人生って本当に難儀だけれど色んな場所があり色んな人がいるから色んなことを味わうことが出来るんだよな。生きてもっとそれを観てみたい。観に行きたい」と思えるのです。旅に出たくなる。物理的にも精神的にも。

私はもともと「いずれは皆死んでいく中で、自分の生とその終わりを自覚するだけの知能を持つ我々人間が生きる意義とは、『感じること』『心を培うこと』にこそある」と思っていますが、それを改めて痛感する内容でした。

恐らく、原作の精神を忠実に反映しているのもこの2003年版アニメでしょう。

全部見終えた後には文句なしの★5評価を下していましたね。

オープニング主題歌の「all the way」も、作品の雰囲気に合った良い歌です。

◇では2017年版アニメの良さはどこにあるのか

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単刀直入に言いますが、新アニメの魅力は「美しさ」「爽やかさ」「カッコよさ」です。とことん綺麗にかっこよく描かれているのが分かります。

だからキャラデザもその方向にデフォルメされてスタイリッシュになっています。声優さんもそれに合わせたキャスティングになっている気がします。この作風の違いには拒否反応を起こす原作ファンも居るようです。

話の内容もあっさりしていて、肩の力を抜いて観られるかわりに、観終えたあとに旧作のような染みる感じがありません。

面白いかどうかで言えば、「面白い!」とはなかなか成りません。だって「美しい」「カッコいい」「気持ちいい」「観やすい」と思わせる要素はあっても、「面白い」と感じさせる要素、深みはそんなにないですから。さきほど言ったように、もともとそういう方向で作られていないと思いますしね。

Twitterで面白い面白いと言っている人は、たぶん「テンポのよさ」「分かりやすさ」「絵の美しさ/凄さ」「カッコよさ」を「面白い」と言語化しています。

でも駄作というわけではありません。観る価値のある魅力的なアニメではあります。

新アニメはとにかく絵が美しい。細かいところまで非常によく描かれていて、色艶も素晴らしい。オープニング映像などは特に息をのみます。主題歌もとても綺麗で、ワクワクする曲です。シナリオも非常にわかりやすく、とっつきやすいです。テンポもよく、ストレスフリーに観ることができます。

方向性が方向性ゆえ、とくにメッセージ性については原作に忠実とは言えないでしょうが、ひとつのアニメーション作品として『雰囲気に浸る』ことは充分にできる作品でしょう。

心に染みて「あぁ~…」となるよりは、このアニメがもつ清涼感に心が洗われるという感じでしょうか。とにかく爽やかです。

ビジュアルが全体的にかっこいいので、グッズも売れそうです。

世界の美しさや広さをストレートに伝えてくるのは気分が良いものです。疲れた日常から抜け出してキノたちと旅するにはうってつけでしょう。

旧作とは違う攻め方で「旅に出たくさせる」アニメとなっています。

◇まとめ

以上で『キノの旅』アニメ2作品それぞれの魅力の紹介とさせていただきます。本記事によって多少なりとも興味が湧きましたら、また「ちょっと観返してみるか」という気持ちにもし成りましたら、ぜひそうしてみてください。

個人的にはぜひとも両方観ていただいて、それぞれの持ち味をしっかり味わってほしいなと思うところです。

新アニメ公式ホームページhttp://www.kinonotabi-anime.com/

制作会社様ホームページhttp://www.lerche.jp/

・旧アニメ本編

・新アニメ本編

・新アニメBlu-ray 上巻

・新アニメ主題歌:here and there/砂糖玉の月