『キノの旅』アニメ、新旧どちらが「面白い」か。それぞれの良さを語る

あの人気作『キノの旅』の新アニメが今期放送していて、AmazonPrimeで一週間遅れて視聴することができます。で、ちょうどいいことに2003年にWOWWOWで放送されていた旧作も現在おなじくPrimeで視聴することが出来るので、この機会にと思って両方観てみました。

今回はこの新旧2作を比較しての評価を記しておきます。

 

まずこの『キノの旅』という作品の大筋は、「主人公のキノという若い旅人が、相棒であるモトラド(バイクのことをこの世界ではそう言う。ちなみにこれらは割とふつうに人語を話せる)のエルメスといっしょに、広い世界をどこまでもどこまでも旅し、様々な国に赴き、様々な人々と出逢ってその生き様を観て、時として触れて、様々なものを感じていく」というもの。

――世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい――

キャッチフレーズになっているこの言葉のとおり、人間の難しさや醜さを見せつけつつ、それでこそ感じられる奥深さや面白さや温かさを気づかせる、そんな構成になっています。

単にフィクションの枠におさまらず、観る者に哲学させ人生観を広げさせる助けになるような内容になっているのが最大の魅力。つまりこの作品にキャラ萌えは要らないのです。カッコよさも要らないのです。

これを前提に評価すれば、面白い(味わい深い)のは明らかに旧アニメです。

◇2003年版アニメの魅力 ~確実に心に染みる、中身の濃さ

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旧アニメを観始めた時、1話の前半の時点では正直「うーん…」と思いましたよ。最初の展開はダルくて、初見で心をつかんでくる盛り上がりが無いし、エルメスの声は結構キンキンするうえ絵本か紙芝居の朗読のようで疲れるし、キノの声優さんも声はいいんですが上手と言えるかは微妙なもので(回を重ねるごとに上手くなっていく気はします)、絵だってもちろん今のアニメのように美麗じゃありません。「こんなかんじで続いていくのか…?」と思ってしまいました。

それだけ自分の中で不評だったのだから、もちろんそこで今後一切観るのをやめるという選択もあるでしょう。

だけど、日を改めてもう一度観てみました。

今度はとりあえず第1話を最後まで。

そしたら、なんということでしょう。観れば観るほど引き込まれる。内容が濃いので1話1話がいい意味で長く感じる。どんどん次の話が観たくなって、余暇をまるまる使って一気に観てしまいました。

べつに笑えもしないし、アクションで熱くなるような内容でもない。昨今のアニメのようなオシャレ感やスタイリッシュさも無い。

でも「染みる」んです。とにかく胸に染みる。見終えた後に、確かに心に残っているものが有る。この作品を知れてよかったとすら思えるだけの中身が有る。

絵柄も、声優さんのしゃべりも、最初はダルく感じた演出も、観れば観るほどそれが代えがたい味になっていると分かりました。「あ、そうか。この作品は絵本みたいでいいんだ」と。

「旅」といいつつ決して爽やかな明るい話ではないんですが、病むような内容ではなくて、観終えた後には「人生って本当に難儀だけれど色んな場所があり色んな人がいるから色んなことを味わうことが出来るんだよな。生きてもっとそれを観てみたい。観に行きたい」と思えるのです。旅に出たくなる。物理的にも精神的にも。

私はもともと「いずれは皆死んでいく中で、自分の生とその終わりを自覚するだけの知能を持つ我々人間が生きる意義とは、『感じること』『心を培うこと』にこそある」と思っていますが、それを改めて痛感する内容でした。

恐らく、原作の精神を忠実に反映しているのもこの2003年版アニメでしょう。

全部見終えた後には文句なしの★5評価を下していましたね。

オープニング主題歌の「all the way」も、作品の雰囲気に合った良い歌です。

◇では2017年版アニメの良さはどこにあるのか

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単刀直入に言いますが、新アニメの魅力は「美しさ」「爽やかさ」「カッコよさ」です。とことん綺麗にかっこよく描かれているのが分かります。

だからキャラデザもその方向にデフォルメされてスタイリッシュになっています。声優さんもそれに合わせたキャスティングになっている気がします。この作風の違いには拒否反応を起こす原作ファンも居るようです。

話の内容もあっさりしていて、肩の力を抜いて観られるかわりに、観終えたあとに旧作のような染みる感じがありません。

面白いかどうかで言えば、「面白い!」とはなりません。だって「美しい」「カッコいい」「気持ちいい」「観やすい」と思わせる要素はあっても、「面白い」と感じさせる要素、深みはないですから。冒頭で言ったように、もともとそういう方向で作られていないと思いますしね。

Twitterで面白い面白いと言っている人は、たぶん「展開の速さ」「分かりやすさ」「絵の美しさ/凄さ」「カッコよさ」を「面白い」と言語化しています。

 

でも決して駄作ではないです。観る価値のある魅力的なアニメではあります。

新アニメはとにかく絵が美しい。細かいところまで非常によく描かれていて、オープニング映像などは特に息をのみます。主題歌もいい。それだけで心が洗われるような気はします。テンポもよく、ストレスフリーに観ることができます。

方向性が方向性ゆえ、原作に忠実とは言えないでしょうが、ひとつのアニメーション作品として『雰囲気に浸る』ことは充分にできる作品でしょう。グッズも売れそうです。

世界の美しさや広さをストレートに伝えてくるのは気分が良い。疲れた日常から抜け出してキノたちと旅するにはうってつけでしょう。

旧作とは違う攻め方で「旅に出たくさせる」アニメとなっています。

◇まとめ

以上で『キノの旅』アニメ2作品それぞれの魅力の紹介とさせていただきます。本記事によって多少なりとも興味が湧きましたら、また「ちょっと観返してみるか」という気持ちにもし成りましたら、ぜひそうしてみてください。

個人的にはぜひとも両方観ていただいて、それぞれの持ち味をしっかり味わってほしいなと思うところです。

新アニメ公式ホームページhttp://www.kinonotabi-anime.com/

制作会社様ホームページhttp://www.lerche.jp/

・旧アニメ本編

・新アニメ本編

・新アニメBlu-ray 上巻

・新アニメ主題歌:here and there/砂糖玉の月

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