『魔法使いの嫁』人間の心が分からない魔法使いが拾ったのは、居場所のない少女だった

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2クール構成予定で現在放送中のアニメ『魔法使いの嫁』

タイトルがタイトルゆえ「ラブコメかな?」くらいの気持ちで観てみたのですが、ふたを開けてみれば、素直に傑作ファンタジーといえるアニメです。

今回はこの作品のあらすじと見所を紹介。

例によってストーリーに関するネタバレはありません。

 


◇あらすじ

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羽鳥智世(はとりちせ)は生まれつきの特異体質で、妖怪や妖精といった類の、普通の人には見えないものが見えてしまう。この体質のせいで周囲から恐怖され蔑まれ、親戚中をたらい回しにされ心の行き場もなくした彼女は、自ら人身売買の商品になる道を選び、遠くイギリスの地で競売にかけられる。

商品が穢れも知らぬ若い少女とあって、集まった客たちは我こそはと競り落とそうとするが、そのとき、顔をすべて赤い布で覆った不気味な男が姿を現し、彼女を弟子にすると言って高値で落札するのだった。

彼の名はエリアス・エインズワース。今はもう絶滅寸前となっている本物の魔法使いである。

 

智世を弟子として買ったエリアスは、その言葉どおり彼女を自分の家に丁重に迎え入れ、妖精や怪異の存在についてや、彼女の特異体質がそれらを呼び寄せるスレイ・ベガと呼ばれるもので魔法使いとしての最高の素質であることなどを聞かせ、これからはここが彼女の居場所だと伝える。

今まではどこに行っても煙たがられ恐れられるだけで居場所と呼べるものがどこにも無かった智世は、エリアスの言葉に心から救われ、彼の正体や真意はどうあれ一緒に生きていくことを決めるのであった――

 

人外(じんがい)の魔法使いエリアスとの共同生活をきっかけに、智世はさまざまな人間や妖怪や怪異,さまざまな種族の者と巡り会ってそれぞれの事情や心情に触れ、命の在り様に触れていくことで己の感情を育み、幸せとはどんなものなのかを知っていく。

スレイ・ベガという特異かつ過酷な運命を背負った彼女は、エリアスの弟子として優秀な魔法使いになることが出来るのか。そして、その先で彼女たちを待っているのは、どんな未来だろうか。

◇感想 ~超常的な世界観でありながら、メッセージは極めてシンプルだ~

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まずこれは愛を知る物語である。

弟子として、そして未来の嫁として智世を買ったエリアス。

ヒトでも妖怪でもない中途半端な存在である彼は、人間の思考を理解はできても、それに共感することが出来ない。人間がするように振る舞うことは出来ても、人間のような感情を持つことができない。

人間嫌いと言われ人里離れてずっと暮らしてきた彼が、人間の智世を迎えたのは、恐らく、彼女が魔法使いとしての卓越した才能を持つスレイ・ベガだからというだけの理由ではない。

彼は彼女をそばに置き一緒に暮らしていくことで、人間の感情を本当の意味で理解したいのかもしれない。根源にある理由はどうあれ、エリアスにとって彼女は実質、人間の心を学ぶための教材のようなものでもある。

その希望どおり、彼女と寄り添うように生きていく中でエリアスの「心」は少しずつ刺激を受け、新しい何かを感じていく。

 

智世もエリアスと一緒に過ごし様々なものに触れていくなかで、人間らしい感情を思い出していき、自分の心の輪郭を作っていく。

彼女の心が人間として十分に育ったとき、そばに居るエリアスの存在は単なる主人や師匠ではなく、別の代えがたいものになっているのであろうか。

これは智世にとって居場所というものを知る物語であり、ふたりにとって心を知る物語であり、愛を知る物語なのだ。

ふたりの心の成長を見届ける中で、我々の心もなにか大切な、シンプルなものを思い出すかもしれない。

 

また、これは命を知る物語でもある。

智世はエリアスと一緒に暮らし、魔法使いとしての仕事を手伝ったり、彼の多種多様な知り合いと出逢いその生き方を観たり対話したりするなかで、生まれて初めて自分の命の存在を真に実感し、「命」がなんであるか、生きるということがなんであるかを実感していく。また、魔法を知っていくことで、世界の理を知っていく。

生きることになんの希望も見いだせずかといって死にたいとも思えず、ただただ毎日をやりすごすだけだった彼女は、エリアスとの生活をとおして「自分が確かにここに居る。生きている」と感じていくのである。

その様は非常に温かく、希望に満ちていて、自然と応援したくなるものだ。

そして、そのように成長するなかで彼女はどんな生き方を選択していくのだろうか。スレイ・ベガとしての自分の力をどう使っていくことを選んでいくのか。それがとても楽しみでもある。

◇メッセージ性抜群の主題歌

主題歌がまた素晴らしい。

オープニングの「Here」は、JUNNAさんのファーストシングル。熱く壮大なタンゴ調のメロディラインに乗せて、「明日を目指して生きろ。君には君の居場所が必ずある。自分の命がたとえどれだけ小さく無意味でも、僕たちは生きたいと叫ぶんだ」という力強いメッセージを歌っています。

JUNNAさんの歌唱力(声量や感情の入れ方)はほんとに凄くて、一発で心をガーンと揺さぶられるようなポジティブな圧力がありますし、テンポもちょうどよく、伴奏も作りが細かく抑揚がしっかりしているのでループで聴いても飽きません。物凄くエネルギーが湧いてくる1曲です。「自分はここに居るぞ!!!」と心のなかで叫びたくなりますね。

歌詞に雨が出てくるからというわけではありませんが、なんとなく、雨が降っている日に道行く人たちを観ながら聴くのにピッタリな気がします。

 

糸奇はなさんが歌うエンディングの「環-cycle-」はオープニングとは対照的に、静かで優しい曲です。澄んだ歌声と、物静かではありながら色々な音が美しく重なっている伴奏。エンディング映像のように星空を眺めながらしんみり聴くのに最高でしょう。冬にいいですねぇ。

こちらも、生きるということ、居場所というものの尊さについて命の巡りをテーマにして温かく歌っています。

この曲、本編を観終えたあとの余韻を引き立ててくれて「あぁ~…」という気分にさせるんですよ。

◇まとめ

ここまで読んでもらえればお分かりのとおり、この作品はタイトルからは想像もつかないかんじの真面目な感動ファンタジーものなんですが、そういう感動のなかにちょっとしたコメディ(お茶目)要素もあったりして、緩急のバランスがいいのでとても観やすいですね。

切ないシーンや、きな臭い人間が出てきたり謎の魔の手が迫ってきたりといったヒヤッとするシーンもありますが、どす黒い気分になるようなことは無いと思います。というのも、なんだかんだ希望を手探りしていく物語だからです。

 

智世もエリアスも「心」を知らず、本当の愛がどういうものなのかもまだ知らずにお互い手探りで近づいていく様がひどく微笑ましい。そんな人間と異形の者とのピュアな恋愛ものとしての楽しみも勿論ありますし、

時としてエリアスのような人外の存在から心の在り方や命の在り方を魅せられることもあって、そういうシーンでは、ファンタジーだからこそ理屈抜きのド直球で描ける、人生についての強いメッセージに心を打たれるのです。

 

本編の絵の雰囲気にしても、話の内容にしても、秋から春にかけて観るのにちょうどいいなぁと思いますので、今回の放送期間はドンピシャでしょう。

私はAmazpnPrimeを利用してHP(720p)画質で視聴しているんですが、絵もめちゃくちゃ綺麗です。非常に丁寧で絵柄にクセもなく、とっつきやいし、相当力を入れて作ってるのが分かります。本当に本当に綺麗なので、ぜひ高画質で観ていただきたい。オープニング映像は特に大好きです。

お世辞抜きで「アニメ史に残る名作」となる予感がありますので、本記事で気に成りましたらぜひご視聴ください。

 


◇関連情報

アニメPV

(※※ PVは第3弾までアップされているようですが、事前知識を最小限にとどめて本編を視聴されたい方は、第1弾PVのみ観ることをおすすめします。※※)

・アニメ本編(Amazonビデオ)

 

アニメ公式サイトhttp://mahoyome.jp/

(↑放送情報もこちらの「on air」ページでご確認ください)

制作会社様公式サイトhttp://www.witstudio.co.jp/

TVアニメ公式Twitterhttps://twitter.com/mahoyomeproject?lang=ja

 

MAGCOMI 原作情報ページhttps://comic.mag-garden.co.jp/mahoyome/

原作者:ヤマザキコレ先生Twitterhttps://twitter.com/ezoyamazaki00?lang=ja

【※※注意※※】アニメ・漫画関係のイベントや発売について、販売物などについては、原作者様に質問しにいかないように何卒ご配慮願います。なにか質問がある場合には、アニメ公式アカウント等に連絡してみましょう。

 

◆WEBラジオ

チセ役の種﨑敦美さん、エリアス役の竹内良太さんのお二人がパーソナリティを務めるWEB同人ラジオがYoutubeで配信されています。アニメ本編とは打って変わって、終始ウキウキな感じで元気に収録されてますので、作品をちがう角度からももっともっと味わいたい!という方はぜひ聴いてみて下さい。

 

◆グッズ情報

アニメイトオンラインショップhttps://www.animate-onlineshop.jp/products/list.php?mode=search&smt=%E9%AD%94%E6%B3%95%E4%BD%BF%E3%81%84%E3%81%AE%E5%AB%81

(URLはあえて短縮化しておりません。ご了承ください。)

Frooviehttp://froovie.jp/shop/c/c28082/

・原作コミック

・アニメ Blu-ray 第1巻

『キノの旅』アニメ、新旧どちらが「面白い」か。それぞれの良さを語る

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あの人気作『キノの旅』の新アニメが今期放送していて、AmazonPrimeで一週間遅れて視聴することができます。で、ちょうどいいことに2003年にWOWWOWで放送されていた旧作も現在おなじくPrimeで視聴することが出来るので、この機会にと思って両方観てみました。

今回はこの新旧2作を比較しての評価を記しておきます。

 

まずこの『キノの旅』という作品の大筋は、「主人公のキノという若い旅人が、相棒であるモトラド(バイクのことをこの世界ではそう言う。ちなみにこれらは割とふつうに人語を話せる)のエルメスといっしょに、広い世界をどこまでもどこまでも旅し、様々な国に赴き、様々な人々と出逢ってその生き様を観て、時として触れて、様々なものを感じていく」というもの。

――世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい――

キャッチフレーズになっているこの言葉のとおり、人間の難しさや醜さを見せつけつつ、それでこそ感じられる奥深さや面白さや温かさを気づかせる、そんな構成になっています。

単にフィクションの枠におさまらず、観る者に哲学させ人生観を広げさせる助けになるような内容になっているのが最大の魅力。つまりこの作品にキャラ萌えは要らないのです。カッコよさも要らないのです。

これを前提に評価すれば、面白い(味わい深い)のは明らかに旧アニメです。

◇2003年版アニメの魅力 ~確実に心に染みる、中身の濃さ

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旧アニメを観始めた時、1話の前半の時点では正直「うーん…」と思いましたよ。最初の展開はダルくて、初見で心をつかんでくる盛り上がりが無いし、エルメスの声は結構キンキンするうえ絵本か紙芝居の朗読のようで疲れるし、キノの声優さんも声はいいんですが上手と言えるかは微妙なもので(回を重ねるごとに上手くなっていく気はします)、絵だってもちろん今のアニメのように美麗じゃありません。「こんなかんじで続いていくのか…?」と思ってしまいました。

それだけ自分の中で不評だったのだから、もちろんそこで今後一切観るのをやめるという選択もあるでしょう。

だけど、日を改めてもう一度観てみました。

今度はとりあえず第1話を最後まで。

そしたら、なんということでしょう。観れば観るほど引き込まれる。内容が濃いので1話1話がいい意味で長く感じる。どんどん次の話が観たくなって、余暇をまるまる使って一気に観てしまいました。

べつに笑えもしないし、アクションで熱くなるような内容でもない。昨今のアニメのようなオシャレ感やスタイリッシュさも無い。

でも「染みる」んです。とにかく胸に染みる。見終えた後に、確かに心に残っているものが有る。この作品を知れてよかったとすら思えるだけの中身が有る。

絵柄も、声優さんのしゃべりも、最初はダルく感じた演出も、観れば観るほどそれが代えがたい味になっていると分かりました。「あ、そうか。この作品は絵本みたいでいいんだ」と。

「旅」といいつつ決して爽やかな明るい話ではないんですが、病むような内容ではなくて、観終えた後には「人生って本当に難儀だけれど色んな場所があり色んな人がいるから色んなことを味わうことが出来るんだよな。生きてもっとそれを観てみたい。観に行きたい」と思えるのです。旅に出たくなる。物理的にも精神的にも。

私はもともと「いずれは皆死んでいく中で、自分の生とその終わりを自覚するだけの知能を持つ我々人間が生きる意義とは、『感じること』『心を培うこと』にこそある」と思っていますが、それを改めて痛感する内容でした。

恐らく、原作の精神を忠実に反映しているのもこの2003年版アニメでしょう。

全部見終えた後には文句なしの★5評価を下していましたね。

オープニング主題歌の「all the way」も、作品の雰囲気に合った良い歌です。

◇では2017年版アニメの良さはどこにあるのか

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単刀直入に言いますが、新アニメの魅力は「美しさ」「爽やかさ」「カッコよさ」です。とことん綺麗にかっこよく描かれているのが分かります。

だからキャラデザもその方向にデフォルメされてスタイリッシュになっています。声優さんもそれに合わせたキャスティングになっている気がします。この作風の違いには拒否反応を起こす原作ファンも居るようです。

話の内容もあっさりしていて、肩の力を抜いて観られるかわりに、観終えたあとに旧作のような染みる感じがありません。

面白いかどうかで言えば、「面白い!」とはなりません。だって「美しい」「カッコいい」「気持ちいい」「観やすい」と思わせる要素はあっても、「面白い」と感じさせる要素、深みはないですから。冒頭で言ったように、もともとそういう方向で作られていないと思いますしね。

Twitterで面白い面白いと言っている人は、たぶん「展開の速さ」「分かりやすさ」「絵の美しさ/凄さ」「カッコよさ」を「面白い」と言語化しています。

 

でも決して駄作ではないです。観る価値のある魅力的なアニメではあります。

新アニメはとにかく絵が美しい。細かいところまで非常によく描かれていて、オープニング映像などは特に息をのみます。主題歌もいい。それだけで心が洗われるような気はします。テンポもよく、ストレスフリーに観ることができます。

方向性が方向性ゆえ、原作に忠実とは言えないでしょうが、ひとつのアニメーション作品として『雰囲気に浸る』ことは充分にできる作品でしょう。グッズも売れそうです。

世界の美しさや広さをストレートに伝えてくるのは気分が良い。疲れた日常から抜け出してキノたちと旅するにはうってつけでしょう。

旧作とは違う攻め方で「旅に出たくさせる」アニメとなっています。

◇まとめ

以上で『キノの旅』アニメ2作品それぞれの魅力の紹介とさせていただきます。本記事によって多少なりとも興味が湧きましたら、また「ちょっと観返してみるか」という気持ちにもし成りましたら、ぜひそうしてみてください。

個人的にはぜひとも両方観ていただいて、それぞれの持ち味をしっかり味わってほしいなと思うところです。

新アニメ公式ホームページhttp://www.kinonotabi-anime.com/

制作会社様ホームページhttp://www.lerche.jp/

・旧アニメ本編

・新アニメ本編

・新アニメBlu-ray 上巻

・新アニメ主題歌:here and there/砂糖玉の月

『宝石の国』のアニメが凄い。無機的な世界観の中にある確かな「生」の躍動と感動

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2017秋アニメ『宝石の国』、なんとなしに観てみたのですが、凄い作品です。美しく、面白く、とても感動できる。

一視聴者として、ぜひもっと多くの人に観てほしいと思い、今回はこのアニメの魅力をなるべく詳しく語ってみます。しばしお付き合いください。

※ネタバレはありませんのでご安心ください。

 


~おはなし~

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舞台はいまから遠い遠い未来。6回に渡って流星が激突して欠け、それによって周囲に6個の月が生まれ、ほとんどの生命は死滅し、ついに人間も絶滅してしまった世界。

そこには当然かつての生態系は無く、僅かに下等生物たちが息づき、そして果てなく広い海と広大な草原が続くばかりであった。

そこに、人間と同じような姿かたちと人間と同等の知性を有した28個の生命があった。

彼らは人間が絶滅したのち海の中で生まれ育まれた生命で、鉱物の身体を持ち、日光をエネルギー源として活動し、性別をもたず生殖をせず、何度砕けても決して死ぬことなく、そして破片を繋ぎ合わせさえすれば体内にて共生している微小生物の特性により元通りに活動することが出来るという、不老不死の『宝石』たちである。

宝石たちはそれぞれ、由来する鉱物そのままの性質を持ち、そのままの名で呼ばれる。そして、彼らだけの学校にて寝起きを共にしていた。

 

この28名の宝石たちは、もう何百年にも渡って、とある敵との戦いを繰り広げていた。その敵の名は『月人(つきじん)』

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月人はその名の通り月からやってくるらしい詳細不明の種族で、宝石たちを持ち帰って装飾品にするべく何度も何度も攻撃をしかけてくる。

宝石たちは、まとめ役である金剛の下、戦闘や医療などそれぞれが得意とする分野ごとに持ち場について月人の襲来に備え、身を守り続けている。

 

彼ら宝石たちの中でも最年少のフォスフォフィライト(通称:フォス)は、硬度が3.5と非常に脆く、ものすごく不器用で、そのうえ月人が欲しがって止まないほどの美しさを有しているという3重苦を抱えた落ちこぼれである。月人が襲ってきても戦うこともできず、身を隠しているほか無いフォスについては、金剛でさえもその相応しい仕事を定めあぐねていたのだ。

そんなフォスに、ある時ひとつの仕事が与えられる。それはこの世界のさまざまなことを調査・分類・記録する「博物誌」の編纂。

実力に反して活躍したがりなフォスは、明らかに退屈であろうこの仕事を嫌がりながらも仕方なく仰せつかるが、これから博物誌をつけていくといっても、宝石たちが未だ知らないものを探すのにも一苦労。

 

そこでフォスは、仲間のアドバイスから、28名の内ただひとり夜の見回りを担当しているシンシャに、何か未知の動植物を見たことが無いか尋ねにいくことにする。

シンシャは、毒液(水銀と亜硫酸)を身体から無意識かつ無尽蔵に発生させてしまう体質ゆえに皆から遠ざけられ、一度も月人が襲来したことのない時間帯である夜の警戒をたった一人で行わせられているということであった。よってその決定的な居場所は誰も知らない。

フォスはその日の日中さっそくシンシャを探して歩くがどこにも見当たらない。黄昏時になり最後の候補である岬を訪れたとき、突如として月人が襲来し彼を襲う。

咄嗟のところでフォスをかばったのはシンシャであった。

息をするだけで土も草も殺してしまい、大気を汚し、他の宝石たちの身体を穢し輝きを失わせてしまう、忌み嫌う自分の能力… それを最大限に駆使して月人を倒すシンシャ。

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「見られたくない。汚したくない。戦いたくない」と言いながらも、彼はフォスを守ってくれたのだ。

フォスは、そんなふうに苦しみながらも必死に自分を助けてくれたシンシャの姿に心を揺さぶられていた。

その日の夜、シンシャが居た場所を医療担当のルチルに話すと、あの岬は月人の出現回数が多く極めて危険とされる場所だということを聞かされる。

 

翌日、フォスがその岬で植物の記録を付けていると、再びシンシャと出くわす。聞けば、なんとシンシャはいつもここで月人にさらわれるのを待っているというのだ。

「月でなら、俺に価値を付けてくれるかもしれない。」

シンシャ自身も、皆に嫌われているわけではないことくらい分かっていた。ただ、意図せず皆を穢してしまう自分の性質と、夜の孤独に、とうとう自分の存在意義が分からなくなりかけていたのである。

しかし彼が何日待っても月人はやって来なかった。それが、昨日フォスが現れたとたんすぐに襲撃してきたのだ。

役に立たずとも敵にすら愛されているフォスのことを、シンシャは心底羨ましいと感じる。

 

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「夜の見回りよりずっと楽しくて君にしかできない仕事を、僕が必ず見つけてみせるから!だから…月に行くなんて言うなよ!!」

シンシャの事情と内心を知って居た堪れなくなったフォスは、気づけばそんなことを口にしているのだった。

 

果たしてフォスは、シンシャの真の利用価値を見つけてあげることが出来るのか。

そして長きに渡る月人との戦いの行方は。そもそも彼らは何者なのか。

美しく愛くるしい日常と、壮絶な戦いとを繰り返していくなかで、物語は次第に、この世界に住まう彼らの『命』そのものの謎にも迫っていく。

 

――これは脆く儚く、強く美しい、友情と成長の物語――

 


◇キャラクター紹介

※「硬度」とはひっかいた時の傷の付きにくさ。それとは別に叩いた時の割れにくさである「靭性」というものが有ることはご留意いただきたい。なおここではちょっとしたネタバレ回避のため、序盤から際立って登場している者のみをまとめています。ご了承ください。

フォスフォフィライト

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硬度三半の非常に脆い宝石。だがその美しさは目を見張るものが有る。

明るくユーモラスで前向きな性格ではあるが、非常にドジで、自分に適した仕事を誰からも見いだせられず悶々と過ごしていた。

そんなある日、博物誌編纂という任を与えられ、この仕事に奔走するなかで彼をとりまく状況は少しずつ動き出し、彼の気持ちと生き方も変化していくことになる。

果たして彼がこれから目にし、手にしていくものは何だろうか。

由来する鉱石も、一般の知名度こそ低いが非常に美しく、また高価である。

シンシャ(辰砂)

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クールな容姿と性格をしている宝石。ずば抜けた戦闘力を持っているにも関わらず、息をしているだけで毒液を生成し続けてしまう困った特性ゆえに、皆といっしょに戦うことも住まうことも出来ない。

聡明なルチルや金剛でさえも彼の利用価値を見出せず、結果として、単独での夜の警戒という孤独な仕事を任せてしまっている。

由来する「辰砂」は、水銀の精製に利用させる鉱物。

ちなみに硬度は…

〇金剛

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ダイヤモンドの別称である「金剛石」。

宝石たちのまとめ役で、名実ともに彼らの『先生』である。

硬度十のうえ、月人の群れを一瞬で霧散させてしまうほどの強者。

その強大な力の代償か、瞑想という名目で昼寝をして休んでいることが多い。

ルチル

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硬度六。「医療」担当。

戦闘には参加せず、宝石たちの身体が破損したときに修復してやるのが主な仕事。皆の身体にきれいにおしろいを塗ってあげているのも彼である。

知的で冷静だがドSなところがあり、ヤブ医者という二つ名で呼ばれることも。

ダイヤモンド

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硬度十の宝石・ダイヤモンド。

非常に美しく、フォスもその姿には思わず「存在がまぶしい」とコメントしてしまうほど。また性格もとても温かく面倒見がいい。

兄弟であるボルツのことは心から愛しているが、それとはべつの想いも。

ボルツ

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天然の多結晶ダイヤモンドで、その緻密な構造から非常に割れにくい。

硬度も靭性も抜群で戦闘能力も極めて高い、戦闘狂。

金剛には遠く及ばないものの、月人の群れを単騎で片づけてしまうほど。

性格は一見すると暴力的で冷酷に見えるが、芯の部分にはそれとは違う心情を持っているようである。

ジェード

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ヒスイの英語名であるjade。

すべての宝石の中で一番割れにくい靭性を持つ。

それゆえ二つ名は『堅牢のジェード』。

実直な性格で、金剛の下で皆を束ねている存在である。

ユークレース

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硬度七半の初期担当。

計算が得意で月人の出現予測まで行っている。

ジェードと気が合うようで一緒に居ることが多い。

大人しく繊細で、恥ずかしがり屋な性格。

モルガナイトゴーシェナイト

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モルガナイト(右):通称モルガ。やんちゃで思い切りのいい性格。戦闘力は高いようだが、その思い切りの良さがあだとなることも…?

ゴーシェナイト(左):通称ゴーシェ。物腰柔らかく落ち着いた性格。強さはモルガと同等。彼とはペアで警戒に当たっている。

両名とも硬度七半。

 


◇感想 これは一生に一度は観るべき作品だと思う

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このアニメ本当に凄いです。

私もこれまでの人生で、萌えアニメからアクションアニメまで新旧問わず色んなものを観ましたが、キャラクターの命の存在や躍動感そのものにこんなに感動したのは初めてです。

風変わりな設定で、しかもフルCG作品…ということで敬遠するアニメファンも居るかもしれません。ですがそれは非常にもったいない。あと、1話で切ってしまう人も非常にもったいない。

◇映像と音声の凄さ

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人類が滅亡したあとの静謐で空虚な世界。他の生物もほとんど死滅している。ここに暮らしているのは宝石という無機的で不思議な生命。

だけれど、観ていて彼らの中に確かに『命』を感じるし、世界も生きているんだということを感じる。これが凄い。

この作品の映像には、それらを感じさせる説得力がある。

フルCGアニメでありながら、手描きのような滑らかさ、温かさ、躍動感がある。

キャラが会話していても、歩いていても、戦っていても、細かいところまでとても緻密に描かれている。味があるし、大自然の息吹さえも感じることが出来る。

宝石たちの見た目も細やかに丁寧に作られていて、宝石っぽいのに、生き物っぽいというか、人間っぽいというか。ナマっぽい。温かさも感じる。彼らはちゃんと生きているんだということをすごく感じさせる。(『宝石の国ラジオ』によると、日常生活シーンの彼らの動きはモーションキャプチャーで作っているらしい)

1カット1カットに命があって本当に生き生きしている。だから戦闘シーンも緊張感があって見入ってしまう。

このアニメを観るときにはキャラの表情をぜひ観てほしい。本当に凄い。

ものすごく力を入れて作られているのが分かります。

 

そして音響関係も凄い。

映像との相性抜群の効果音とBGMが、これまた抜群のタイミングで来る。だからそれぞれのシーンへの引き込まれ度合も倍増です。足音はキャラの存在感を引き立てるし、草の揺れと風の音は、その涼しさを頭のなかでしっかり生み出してくれる。

映像と音の見事なコラボレーションに、思わず心のなかで溜息が出ます。

声優さんたちの演技も見事で、深い感情移入を誘う。観ていて勝手に目頭が熱くなる場面もチラホラ。

緩急の付け方が非常にうまくて、物語世界に気持ちよく入っていけます。

◇物語としての凄さ

1話前半を観ただけでは、「あー、よくある、ワケわからん世界観のバトルアニメ」程度の印象しか受けないかもしれない。だけど観ていけば観ていくほど、この作品の『物語』としての厚さに心を持っていかれます。

月人という正体不明の者たちとの戦いという大筋もあり、

フォスという1人の宝石の成長物語という大筋もあり、

シンシャとの友情の物語という大筋もあり。

またこの世界の命の謎という大筋でもある。

どれか一つが大筋でそこにオマケ要素があるんじゃなくて、この全部が大筋に成っているんですね。とても重層的で味わい深い。

歳をとらず壊れても死なない(死ねない)彼らは、その優れた性質のせいで逆に何事も諦められず、半永久的に悩んで抗っていかねばならない。

そんな彼らの生きざまを観ていると、応援したくもなるし、逆になにか人生において大事なことを教わっているような気もする。

彼らの脆くて強くて美しい命の輝きと心の動きに、胸を打たれると思います。

色々と謎が多い物語なので、それを自分で考察しながら、毎週答えに近づいていくような感覚で待っているとなお楽しいかもしれません。

 


◇物語への没入感を上げる主題歌

オープニングもエンディングも共に高クオリティで、作品の世界観にどっぷり漬からせてくれます。

オープニング曲「鏡面の波」は、美しさとカッコよさの融合。YURiKAさんの透き通った歌声と対照的にズンズン心臓に響くベースの重低音が魅力的で、大好きです。オープニング映像にて色とりどりの宝石たちが流れていく所などは、美しすぎて言葉を失います。

大原ゆい子さんが歌うエンディングの「煌めく浜辺」は、命が少しずつ立ち上がってこれから強く歩いていく… というような情景をイメージさせるパワフルな曲です。絵本のようなタッチのシックなイラストには、しかしたしかに力強い晴れやかさが有ります。


両方とも美しく、切なく、雄大さもあり、アニメの世界観にドンピシャです。

どちらも12月6日発売。待ち遠しくて仕方がない。

※Amazonミュージックでは、CD発売に先んじて2曲ともフルサイズを購入することが可能。CDも予約したけど聴くのが待ちきれないという人などは利用してみてはいかがでしょうか。

 


~さいごに~

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長くなりましたが、アニメ『宝石の国』、「凄い」の一言です。私は今期のなかで一番好きですね。

キャラクターも魅力的です。

ちなみに管理人はジェードが一番好きです。

実直で、おちゃめさもあり、裏表がなさそうないいやつで、何より「堅牢のジェード」と呼ばれる彼のようにタフに生きたいもんだと思って憧れるからです。

 

おはなし自体はすごくシンプルで分かりやすいのに濃いし、空想的なのに人生に通ずるもので、沢山のものを感じて心を潤すことのできる作品だと思います。

クオリティが非常に高く、絵本の世界に入ったような感覚で満喫できます。

観終わったあとに確かに心に残っているものが有るし、続きが楽しみになる内容です。

原作コミックも欲しくなるかもしれません。

 

普段アニメを観ないような人もぜひ観てみてください。

大人が観て楽しめる、むしろ大人が観てこそ感動できるアニメです。

宝石が題材ですが、私のように男でも楽しめます。

男性の方も敬遠せず観てみてください。

 

そして、テレビで見逃していてもAmazonでレンタル視聴可能。

1話108円~216円しますが、払う価値は間違いなくありますよ。

 


◇『宝石の国』関連情報

・アニメPV

・アニメ公式ホームページhttp://land-of-the-lustrous.com/

TVアニメ『宝石の国』公式Twitter@houseki_anime

 

・制作会社様ホームページhttp://www.orange-cg.com/

制作会社様公式Twitter@cg_orange_inc

 

※放送情報はこちらでご確認ください⇒http://land-of-the-lustrous.com/onair/

 

『宝石の国ラジオ』では、金剛役の中田譲治さんが毎回ゲストを迎え、作品についての感想共有や収録裏話などをされています。原作者・市川春子さんのコメントを読み上げたりもしていますので、物語の理解や考察もはかどるでしょう。Youtubeにて公開・更新されていますので、ぜひアニメ本編と一緒にお愉しみください。

・『宝石の国』グッズ

ナタリーストア⇒http://store.natalie.mu/html/page83.html

アニメイトオンラインショップ⇒https://www.animate-onlineshop.jp/corner/cc/land-of-the-lustrous/cd/704/

・アニメ『宝石の国』第1話「フォスフォフィライト」

・DVD/Blu-ray第1巻 

・DVD/Blu-ray第1巻 Amazon限定ver.

・原作コミックス(kindle版あり)